今回は小規模な場合の自家消費と過積載について。
パワコン出力あるいは、太陽光パネルの出力の小さい方の合計が10kW 未満ですと、余剰売電制度が使えます。
- パワコン 5.4kW+4.5kW=9.9kW
- パワコン 5.4kW+5.4kW (ただしパネルが4kW) =9.4kW
- パワコン 4.5kW+4.5kW(パネルがどちらも8kW)=9.0kW
上記 は余剰売電の組み合わせ例です。余剰売電ですと、逆電力保護継電器の設置などしなくてよいので、規模が小さければ、あえてシステム容量を9.9kW 以下にしておくのもありです。
ちなみに2019年度の買取価格(余剰売電)
- 出力制御対応機器 設置義務なし :24円/kWh
- 出力制御対応機器 設置義務あり :26円/kWh
前回、ざっくりパワコン容量の1100倍×1.1倍くらいが目安とお伝えしました。昨今は、パワコン容量よりも多くの太陽光パネルを載せる過積載が一般的な手法です。太陽光パネルが安くなったため、こういった手法が取れるようになりました。
ちなみに日本で快晴になるような日数は、埼玉県と宮崎県が争っているようですが、年間60日前後となっております。10位前後になると、それが30日前後まで下がるため日本では毎日が快晴というわけでもなく、曇りの日なども相当あります。
あくまで太陽光パネルの仕様書に記載のデータは、1000W/m2という日射条件になります。日本では快晴でも900~950W/m2程度と、実はそうそう定格出力が出る環境にはありません。
そこで、太陽光パネルを積み増しすることで、ピークの出力はムダになるけれども実発電量を高める手法が取られております。150%増しくらいまでは、ほぼ、比例して発電量が増える(ムダにほぼならない)ので載せられるなら載せてしまった方がよいです。
では、早速1.5倍にしてみましょう。
9.9kW ×1100×1.1×1.5=17968.5kWh
ざっくり計算なので、前回と同じく年間発電量を夏期1/4、他期3/4とすると
- 夏期: 17968.5×1/4=4492kWh
- 他期: 17968.5×3/4=13476kWh
すべて自家消費したとすると、
- 夏期: 4492kWh×17.06円=76,633円
- 他期: 13476kWh×15.51円=209,012円
電気代だけを見ると約28.5万円です。しかし、電気を1kWh 使うと、再生可能エネルギー発電促進賦課金が2.9円/kWh がかかります。自家消費だと、この部分も節約対象になります。17968kWh ×2.9円/ kWh =52,107円
よって、年間の経済的効果は、33.7万円となります。(76,633+209,012+52,107=337,752円)
- パネル50円/W ×15kW =75万円
- パワコン30円/W ×10kW=30万円
- パネル固定金具12円/W ×15kW=18万円
- 電線(長さ太さによるが)一式2万円
- 連系用ブレーカーとボックス一式10万円
- 工事2.5日×2人 50万円
- 小計 185万円(税抜)8%消費税 199.8万円(税込)
よって利回りは、驚愕の33.7÷199.8×100=16.9%!!
5.9年と、6年を切る勢いで元が取れてしまいます!!
実際は、設計費、諸経費、配送費などが、かかってきますが、それでも6.5 年程度で元が取れてしまうレベルに落ち着くでしょう。
太陽光パネル、電線は20~30年使えますし、パワコンもSMA は単相パワコンなら製品保証10年、三相パワコンなら5年が標準でついてきます。設計寿命は20年ですし、不安であれば、延長保証に加入することで20年とすることも可能です。
30年使ったと仮定すると、ざっくり30万円×30年間となり、200 万円の初期費用はかかるものの、900万円に相当する働きを見せます!今後、賦課金と消費税が上がっていくと、自家消費の恩恵はますます増えます。
余剰買取は10年間の制度ですが、現在、各電力会社が10円/kWh 前後での買取を検討しています。Co2削減のための再エネ電力を確保したい企業も、パリ協定やRE100の動きから出てきております。Co2を排出しない再エネを使うために電気自動車や、ヒートポンプなどの電化が進むシナリオも大いに検討されています。
よって、発電電力を使い切れずに余ってしまっても、将来的には使うためのツールやサービスが普及してくると思われます。どのみち最初の10年間(条件次第で6.5年!)で元が取れるので、導入しておくのは悪くない選択肢だと思います。
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